六甲あかまつ荘リボーンプロジェクト26
六甲あかまつ荘は周囲の自然環境との調和を大切にしながら、時間とともに味わいが増す素材を選定されています。
外壁に採用したのは、ケイミュー社の「SOLIDO typeM_LAP(錆茶/千鳥張り)」です。
表面に鉄粉を含むこの外壁材は、光の加減や湿度の違いで印象を変え、日常の中でさりげなく表情を見せてくれる素材。意匠性と素朴さが両立した、魅力ある仕上がりになっています。
SOLIDO typeM_LAP「錆茶」の表情
typeM_LAP – SOLIDO(公式サイトよりスクリーンショット)
下見張りにした外壁は、パネル同士の重なりから生まれる自然な影とリズムが特徴的です。
色名は「錆茶」ですが、実際の色味は赤みの少ない落ち着いたブラウン。重くなりすぎず、周囲の緑や空の色と調和する絶妙なトーンです。
また、表面のムラ感や素地仕上げ特有のざらつきが、建物に経年変化を許容する柔らかさをもたらします。新築時点で完璧に整っていなくていい。むしろ、時間とともに“馴染んでいく”ことが、この素材の魅力だと感じています。
屋根と外壁、それぞれの素材感を引き立てる
屋根には薄いグリーングレーの立平葺きガルバリウム鋼板を採用。無機的な金属素材でありながら、色彩はやわらかく、SOLIDOのマットで素朴な表情とよく馴染みます。
正面から見ると、ごくシンプルな2階建てに見える外観。ですが、南面の屋根形状は複雑な形状となっており、その中でSOLIDOを使うことで一体感が生まれています。
素材がもたらす、余白のある佇まい
SOLIDOは決して主張の強い素材ではありません。しかしその分、建物に「余白」や「余韻」を与えてくれる素材だと感じています。
光や湿気、風、時間。
そうした外的要因を受け止めながら、静かに佇み続ける壁面は、そこに過ごす人にとっても、安心できる風景の一部になっていくのではないでしょうか。